わたくしごと註解

17-18世紀の西洋哲学および生命思想史を研究しています。執筆者については「このブログについて」をご覧ください。

身辺雑記

【災害ボランティア】石川県珠洲市での活動の記録(2024年3月11日)

危険 UNSAFE この建築物に立ち入ることは危険です。立ち入る場合は専門家に相談し、応急措置を行った後にしてください。 ——被災家屋に貼られた応急危険度判定の赤い用紙 2024年3月9日–10日に金沢市内のしいのき迎賓館にて日本ライプニッツ協会第9回春季大会…

【旅行記】南知多町〜知多市の佐布里池梅林(2024/2/23–24)

冬と春の間、少し風が強まるこの季節に梅見に行くことが、最近10年くらいかけて習慣になってきている。梅林に近づくと、春を待ち望む気分と、まだ肌寒い気温の間に滑り込むようにして梅の香りが漂ってくる。鮮やかな黄緑色のメジロが梅の花の蜜を啜っている…

ぬか床に漬かる

蒸し暑い夜にバーでのんびりしていたら、後から入ってきた知った顔の女性が「ウチで漬けたやつ」と言いながらタッパー容器に入ったぬか漬けをバーテンダーさんに手渡していた。カウンターだけのこじんまりとしたバーで、その場のほとんどが(端の若い男女以…

自然の秩序と人間の秩序

2018年1月30日のツイートを見返していたら——記憶にはないのだけど——私はクラーゲスの『リズムの本質』を読んでいたようで、次の一節を引用していた。 人間あるいは人間の精神がはじめて形のない塊から直観像の世界をでっちあげるのだ、と人間に教えこんだの…

新型コロナ影響下におけるFedExの配達状況(6月13日発 香港から東京へ)

国際郵便がうまく動いていない状態なので、香港の会社から購入した商品がFedExで届きました。具体的な配送状況はネット上にいくらあっても無駄ではないと思いますので、こちらに記録を残しておきます。香港から一度台湾に行って、また広州の方に戻って行った…

ミシェル!ミシェル!!|『禁じられた遊び』は未だに(※ネタバレ注意)

『禁じられた遊び』との出会い ルネ・クレマン監督『禁じられた遊び』(1952)に関係する何事かについて、私が得た最初の知識は、何よりもまずその音楽に関してであった。『禁じられた遊び』の劇中の音楽は、(どうやら予算の関係で)ナルシソ・イエペスのギ…

夏の復活|『万引き家族』と『海街diary』と花火

「現実の春は死んでいる」。そう述べたのは塚本邦雄であった(『詞華美術館』「風信子祭」)。果たして、現代に「春」はまだあるのだろうか。彼は続けて次のように言う。「あるいは死に瀕した醜い春と、造り上げられた密室の春しか、私達は見ることができな…

「本」のこと(2019年1月のこと)

私の父がよく言っていた言葉がある「彷徨う野良猫がいつかエサにありつくが如く」。ブラブラしていると様々な事物に出会う。「犬も歩けば棒にあたる」という諺が、意味の良し悪しの別なく使われるように、出会われた様々な事物は、美味しいエサばかりとは限…

2018年へ感謝を込めて

瞬く間にすぎてゆく年月を数えることに精一杯で、その中身をすっかり忘れてしまうなんてことにならないように、たまにはこうやって記録を残しておくのも大切なことであろう。

目覚まし時計を使って朝起きる方法について

朝。 寝坊をするとき、私はたいてい夢をみている。「あれ、夢をみてる場合だっただろうか」と夢中で自問し、重い瞼をこじ開けて時計をみると、予定時刻はとうに過ぎ去ってしまっているのだ。今日もそんな仕方で1日が始まった。 友人たちと本郷でやっている…

手をつなぐということ

小学生の頃、下校途中に追いかけっこをしていて転んだことがある。季節も思い出せないくらい古い記憶だけれども、かすかな記憶をたどると、坂道で転んだ私は、腕を変な方向に曲げてしまいその後数週間のギプス生活を送ったのであった。 成長して転ぶことも少…

温泉雑記:湯田中渋温泉(2018/1/18~19)

「牛に引かれて善光寺参り」という仏教説話があります。牛を追いかけていったら善光寺に辿り着いちゃったというお話でありまして、それもまた仏さまのお導きということになっております。はてさて、仏さまに導かれてなのかどうかはともかく、多くの人々が昔…

私の2017年を振り返ります

確認してみるとどうやら前回ブログを更新してから、すでに100日以上が経過していました。こまめに何か書いておけば、まとめて振り返ることもないのかもしれませんが、忘れないうちに今年あったことを書き留めておこうという気になりました。というのも、大掃…

鈴虫を楽しむ蒙昧な私

黒電話の呼び鈴は鈴虫の音のようであるし、電線は蜘蛛の巣のようである。いや、本当は全然ちがうのだ。けれど、それを同じようなものとして感じることがままある。 反対もある。鈴虫の音が鳴り響く草むらはきっとコールセンターだし、上手にめぐらされた蜘蛛…

確信の背後で虚焦点となりゆくものへ

大半の人は興味がないであろう、私の個人的な悩みの話である。 ある物事を意味づけることについて、以下の文章を引用するところからはじめよう。 秘所は人間が自然を意味づけし、自然を思想化して、はじめて成立する。だから宗教的に意味づけのない自然は、…

静かな音楽と音楽サービス

ここ数年、静かな音楽を聞くようになった。 中学生の頃ギターを始めた。ロックやフォークを聞くことが多かった。合唱もやっていたので、合唱曲もよく聞いていたし、友達に教えてもらってハイフェッツの素晴らしいヴァイオリンさばきに耳を傾けていたこともあ…

しらすピザのこと

釜揚げしらすというのを手に入れた。どうやって食べるのが美味しいのだろうか。シンプルにご飯に乗っけて食べてみた。美味しい。パスタにしても、もちろん美味しい。それで最後に、ピザにしてみることにした。 江ノ島にしらすピザを売りにしている店がなかっ…

モナドと窓

窓から光が差し込む。窓を開ける。すると、鳥の鳴き声とともに外の空気が入り込んでくる。少し寒くなって窓を閉めた。傾いた太陽の光がまっすぐに窓を突き抜けて、やはり私の元へとやってくるのだった。 私たちの魂は神や宇宙を表出するのであり、あらゆる現…

悲しみにつける薬のために

夢を見た。護岸がしっかり整備され、鉄柵が人の侵入を防ぐほどに手の入った河川の横の細い歩道で「これは二年前に亡くなった妹の指輪なのだ」と言いながら、私にそれを手渡した人がいた。「だけど、まだ会いに行けていない」そう言って、その人はうつむいた…

何かに合うものを見つけるということ

或る一つの事物があったとき、それはそれだけで良いものである、ということが少なくない。白米は白米だけで美味しいという人もいるように。 それでも、私はそれだけでも良いものに、なにかもう一つ合わせたいと思う。白米には納豆なり、漬物なり、なにか付け…

世界について

現在の世界が一つの世界に定まっているということ。人が歩き、ものを食べ、例えば私が今ここに座っているということ。理由律ということ言葉をはっきりと言葉にする以前から、人は物事には理由があることを知っていた。だから、先なるものから後なるものが生…

最適と街灯

駅から家までの帰り道。駅の周りはそれなりに明るく、人通りも多いのだが、少し駅を離れるとあっという間に暗い道に出る。とりわけ私の家の近くは、畑ばかりで夜は人もほとんど通らないような場所である。真っ暗かというとそうでもない。最近は街灯が新しい…

紅葉は落ち葉を教えてくれる

今年は少し遅かったのだが、街の木々もだいぶ紅葉しているのに気づいた。私が気づくのが遅かったのか、木々の方が色づくのが遅かったのか。天気予報によれば、木々の方が遅れていたようだけれど、最近あまり外に出ることがないので実際のところどうだったの…

ヨコヅナサシガメの越冬

昨日とある公園を散歩していたら見たことのない虫を発見した。ゴツゴツした桜の幹に、体長1センチちょっとくらいで赤黒い体をした虫たちが何十匹も体を寄せて集まっていた。背中がゾゾゾーッとするような光景だったのだけれど、普段見慣れない姿だったのでじ…

ビュリダンのロバに餌を食べさせたい

「なんて見事なできばえだこと。なんて腕の立つ職人さんだろう。勇敢な兵隊さんだこと。」こんな言葉が、われわれの志望と職業選択の出発点にある。「見事な飲みっぷりだこと。控えめな飲み方だこと。」こんなことで、節酒家になったり、酔っ払いになったり…

朝起きられない人のために

明けがたに起きにくいときには、次の思いを念頭に用意しておくがよい。「人間のつとめを果たすために私は起きるのだ。」自分がそのために生まれ、そのためにこの世にきた役目をしに行くのを、まだぶつぶついっているのか。

「耳からスパゲッティ」への憧れ

「耳からスパゲッティを食べられるような人間になりたい」 長いことそう思っている。昔、私には好きな人がいたのだけど、その人に構ってもらおうと必死だった。「耳からスパゲッティくらい食べられないと相手してあげられない」と言われたのが、当時の私は当…

横断歩道の白線で遊ぶこと

横断歩道を渡ろうとするとき、誰しも白線に意識がいってしまうという経験があるのではないだろうか。「横断歩道の白線から落ちたらワニに食べられてしまう」というような架空の設定で遊んだ記憶がある人もいるだろう。私の経験からいえば、横断歩道で自分の…

さぁ野菜を食べに行こう

外食をしようということになり、「何を食べたいか」という質問をしたら、「野菜が食べたい」という答えが帰ってきた。このようなときに、いったいどこに行くのが良いのだろうか。麺が食べたいという答えであれば、ラーメン屋、パスタ屋、そば屋、うどん屋…選…

好きな場所でひきこもろう

人は田舎や海岸や山にひきこもる場所を求める。君もまたそうした所に熱烈にあこがれる習癖がある。しかしこれはみなきわめて凡俗な考え方だ。というのは、君はいつでも好きなときに自分自身のうちにひきこもることが出来るのである。実際いかなる所といえど…