わたくしごと註解

17-18世紀の西洋哲学および生命思想史を研究しています。執筆者については「このブログについて」をご覧ください。

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

【読後感想文】重田園江『統治の抗争史:フーコー講義 1978–79』勁草書房, 2018.

全体に関する感想 2020年8月29日に開催された「精神医療と社会学」読書会*1に参加して『統治の抗争史』を読む機会を得た。 約500頁に渡って詳細な議論が繰り広げられる本書を一人で読む自信はなかったので、他の参加者の方々と読むことができたのは幸いであ…

【読後感想文】山本信『哲学の基礎』北樹出版, 1988.

全体に関して 本書はもともと放送大学の教科書として書かれたものであり、教科書としての初版は1985年、その後1992年に改訂版が公刊されている。著者の山本信は『ライプニッツ哲学研究』(東京大学出版会, 1953) という名著を二十代のうちに執筆し、その後…

『モナドロジー』第33–35節に関する些細な(しかし重大な)事実

ライプニッツは『モナドロジー』§ 33 *1において、「思考〔推論〕の真理」と「事実の真理」という二種類の真理を提示している。「シーザーがルビコン河を渡った」および「ルビコン河を渡らなかった」という命題は、現に存在するシーザーに関して言われるよう…

【読書感想文】酒井健太朗『アリストテレスの知識論:『分析論後書』の統一的解釈の試み』九州大学出版会, 2020.

酒井健太朗『アリストテレスの知識論:『分析論後書』の統一的解釈の試み』(九州大学出版会, 2020)の各章に対する私のメモと、全体に関する簡単な感想をまとめておく。本書は博士論文(2018)がもとになっているということもあり、新しくて野心的でありな…