わたくしごと註解

17-18世紀の西洋哲学および生命思想史を研究しています。執筆者については「このブログについて」をご覧ください。

デカルト『方法序説』の一般向け講義のご案内(2024年4月14日〜)

大学でも行っているデカルトに関する講義を、初学者の方を含む一般向け講義として、より時間をかけて、より詳細な内容で開講いたします。今回みなさんと一緒に読み進めるメインテクストは、同時代の書籍のなかでも最も有名であろう『方法序説』という著作です。以下では、講義の詳しい内容を紹介しています。みなさんのご参加をお待ちしています。

開催概要

サービス名:The Five Books

期間:2024年4月14日(日) ~ 2024年5月12日(日)
毎週日曜日20時よりオンラインで開催(録画での参加も歓迎します)
随時Slackを用いて、質問等の講師とのやりとりが可能です。

料金:8000円(2000円/講義×4回)

お申し込みはこちら

講義概要

今から約400年前、現代科学の礎が築かれた科学革命の時代、ルネ・デカルト(1596–1650年)という一人の天才が、新たな哲学を打ち立てるために奮闘していました。この講義では、彼の努力のなかで生み出された稀代の名著『方法序説』(1637年)を、4週間かけて全4回の講義とともに読み進めていきます。

この本を読んで得られるものを一言で表すならば〈考えるための方法〉ということになるでしょう。彼の生きた17世紀は「方法の世紀」とも呼ばれる時代でした。なぜ方法なのか。それは、新たな物事の誕生には常にそれを遂行するための新たな方法が伴わなければならないからです。前の時代と同じやり方では同じ結果になってしまう。彼らは新たな方法を打ち立てることで、新たな科学を、そして新たな哲学を打ち立てようと試みたのです。

方法序説』はそんな方法の世紀においても、随一の影響力と破壊力をもつ書物です。たしかに、本書には、現代科学では否定されている事実や、批判されがちな心身二元論などが登場してきます。しかし、読み進める上で重要なのは、デカルトがそのような考えに至ったのはなぜか、という点です。というのも、その思考プロセスにこそ「方法」があるからですデカルトの思考方法は時代を超えて現代の私たちにも大いに参考になることでしょう。

本講義では、『方法序説』の内容に関する紹介はもちろん、17世紀の他の哲学者たちの思想との比較、さらには毎回の講義の冒頭で本書をより楽しむためのブックガイドの時間なども設ける予定です。また、講義期間中はいつでもSlackを用いて講師に質問をすることが可能になっていますので、理解が難しい箇所があっても一人で悩まず講師とともに考えることができます

方法序説』は初めて哲学書を読む方、哲学への最初の一歩を踏み出したい方、さらには17世紀哲学に興味を持っている方などにもお勧めです。ぜひ一緒に『方法序説』を楽しみましょう。みなさんのご参加をお待ちしております。

使用テクスト

方法序説』は岩波文庫や中公クラシックス、中公文庫、白水Uブックスちくま学芸文庫講談社学術文庫等から様々な翻訳が出ています。基本的には岩波文庫のものに従って講義を進める予定ですが、他の翻訳での参加も可能です。手に入れやすいものをご用意ください。それぞれで訳が異なる部分があると思いますが、そういった違いがなぜ生じてくるのかを考えることも含めて楽しみましょう。  

各講義の内容

第1回 (2024年4月14日 20:00-21:30)の内容:
山に登ったことがある方はご存知かもしれませんが、道具を揃えたり、地図を確認したりする準備作業は、山登りそのものと同じくらい、あるいそれ以上に大事な作業です。最初の講義では、『方法序説』を読み進めるための入念な準備をしてゆきます。古典を読む上での難しさのひとつに、それが書かれた時代の人々と問題意識を共有できていないということが挙げられます。
この講義では、17世紀という時代状況について説明した上で、デカルトという人がなぜ『方法序説』を書くに至ったのかということを解説します。

第2回 (2024年4月21日 20:00-21:30)の内容:
方法序説』第一部から第三部を扱います。この箇所では、『方法序説』に至るまでのデカルト自身の来歴が回想されながら、学問や実践のための規則や格率が示されています。学問的な批判的思考は、それだけでは自らの生活を危ういものとしてしまうことにもなりかねません。デカルトは、日常的な格率を準備することで幸福な生活それ自体も大切にしようと考えていました。こうしたバランスのとれた考え方には見習うべきところが多くあります。第二回の講義では、こうした規則や格率の中身について吟味し、それらを通じて彼が伝えようとしていたことを掴み取りましょう。

第3回 (2024年4月28日 20:00-21:30)の内容:
方法序説』第四部を扱います。この箇所では、デカルト形而上学的な思想が展開されています(この文章を読まれている方ならきっと知っているであろう「我思う故に我あり」も登場します)。伝統的な哲学用語や哲学的な意味での「神」に関する議論は、初めて読む方々にとっては少し難しいかもしれません。でも心配いりません!この講義では初めから丁寧に解説します。こうした文章を読み解く訓練をすることで、今後また別の哲学書を読む際にも必ず役に立つことと思います。

~5月5日は休み~

第4回 (2024年5月12日 20:00-21:30)の内容:
方法序説』第五部から第六部を扱います。この箇所では、デカルトの自然学に関する思想が展開されています。物理や医学、宇宙などについて考えることはどれも、「自然」というものについて考えることです。ここでは、よく批判される、動物を単なる機械とみなす考え方も登場してきます。でも、デカルトは実際どんな言い方をしていたのでしょうか。自分自身の目で彼の言い分を吟味してみましょう。

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