わたくしごと註解

正しく生きるよりも、ただ善く生きるために

【読書メモ】榊原英輔・田所重紀・東畑開人・鈴木貴之編『心の臨床を哲学する』新曜社, 2020

榊原英輔「精神医学の「二つの心」」 人類学者ラーマンの"Of Two Minds” (2001) を紹介しつつ、生物医学的および精神力動的精神医学という「二つの心」を相容れない精神疾患の説明モデルとして提示する。これは精神医学の多元性を示してもいる。 田所重紀「…

【読書メモ】村上恭通(編)『モノと技術の古代史 金属編』吉川弘文館, 2017

津野仁・内山敏行「武器・防具・馬具」 戦闘のなかで使われる道具にどのように金属がもたらされたかが仔細に示されている。地方に対して中央が金銅製品を配布することで支配・被支配関係を構築していたなど、興味深く思う。 田中謙「木工具」 ヤリガンナは、…

読書メモのリンク集

ジャン・グロンダン/末松壽・佐藤正年訳『解釈学』白水社文庫クセジュ, 2018.ジャン・グロンダン『解釈学』 上村忠男『ヴィーコ論集成』みすず書房、2017.上村忠男『ヴィーコ論集成』 戸谷洋志『ハンス・ヨナスを読む』堀内出版, 2018.戸谷洋志『ハンス・ヨ…

ヴィトルト・リプチンスキ/春日井晶子訳『ねじとねじ回し』(早川書房)に関する覚書

20世紀の終わりごろ、それまでの1000年間で最も偉大な道具がなんであったのかを調査した建築学者のエッセイである。ハンマーも、のこぎりも、古代ギリシアからずっと改良を重ねながら使われ続けてきたものだった。しかし、「ねじ」と「ねじ回し」はそうでは…

フランシス・ベーコン『ノヴム・オルガヌム』の企て

諸学の現状について、それが恵まれていず、大きく前進していないこと、そして精神が自然界に対して自己の権能を行使しうるためには、以前に知られていたとは、全く別の道が人間の知性に開かれねばならず、かつ別の補助手段が用意されねばならないこと。

アリストテレス『形而上学』と現実的なものの捉え難さ

M. ヘッセ『科学・モデル・アナロジー』第4章「アリストテレスのアナロジーの論理」(高田訳)において、アリストテレスがどのように「現実態(エネルゲイア)」を定義しようとしたのかが取り上げられている。というのも、まさにその際に使用されたものがア…

三木清「哲学はどう学んでゆくか」後半

諸君がもし自然科学の学徒であるならその自然科学を、またもし社会科学の学徒であるならその社会科学を、更にもし歴史の研究者であるならその歴史学を、或いはもし芸術の愛好者であるならその芸術を手懸りにして、そこに出会う問題を捉えて、哲学を勉強して…

三木清「哲学はどう学んでゆくか」前半

「哲学ってどうやって勉強したらいいの?」という質問によく出会う。よく言われるように、哲学には生物学や物理学などのようにスタンダードな教科書なるものが存在しない。これを一冊読めばとりあえず大丈夫みたいなものがないのである。一方で倫理学分野の…

M. ヘッセ『科学・モデル・アナロジー』:観測不可能への歩み

科学の理論というものが, 経験的なデータに「説明」を与えるためのものであるならば, その理論を何らかのモデルを用いて理解する必要があるだろうか. あるいは, その理論を馴染みの対象や出来事とのアナロジーによって理解する必要があるだろうか. これは、M…

坂本賢三『機械の現象学』:「機械」とは何か、そして近代の知識とは何か。

科学の方が機械をモデルにしてつくり出されたといってよく、機械は科学的方法の根拠であるといってもよいのである。したがって、自然的見方の出発点である機械が哲学的分析から離れたところにあり、哲学的考察をいわば拒否しているかのごとき姿をとっている…

高橋澪子『心の科学史』の序説に関する覚書

心理学が一実験科学ないし個別科学として制度的に確立されるのは、周知の通り、いまから一世紀あまり前のことである。しかし、厳密な意味における近代科学としての実験心理学の論理が成立するためには、さらに半世紀近くを経て、一九三〇年代末に完成する「…

形式と発見法-『思考のための文章読本』に関して

花村太郎『思考のための文章読本』(ちくま学芸文庫)というのを最近読んだので忘れないうちに感想を書いておこうと思う。 思考のための文章読本 (ちくま学芸文庫) 作者: 花村太郎 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/09/07 メディア: 文庫 この商品を…